折口信夫さんと山越阿弥陀図

山越阿弥陀図は、仏教研究者や美術研究者だけでなく、民族学者である折口信夫さんの興味もひいたみたいです。
折口さんは、「山越し阿弥陀像の画因」という論文を書かれています。この論文で、山越阿弥陀図が、日本古来の日祀りに由来する、日想観の影響を受けていることを指摘します。また、極楽浄土が山の端の向こうにあるとする、日本独自の他界観も言及されています。そして、この山越阿弥陀図を日本式の浄土変相図であると主張しています。
確かに禅林寺の山越阿弥陀図には、太陽のようなものが描かれていますが、これは月だと思います。阿字が同時に描かれていますので、密教の月輪観の影響でしょう。ただ、山越阿弥陀図を日本の浄土変相図とする考えに、非常に共感します。
参考文献
折口信夫「山越し阿弥陀像の画因」青空文庫
画像:禅林寺山越阿弥陀図
画像出所:東京国立博物館 https://www.tnm.jp/modules/r_exhibition/index.php?controller=item&id=5375
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