来迎図の変遷と煩悩

来迎図は、もともと九品来迎図から独立したという説があります。九品とは、上品上生が一番で、下品下生がビリという9つのランクを指します。往生にふさわしい人ほど、ランクの高い来迎が待っています。
来迎図に最も大きな影響を与えたのが、源信さんです。源信さんの『往生要集』がなければ、来迎図の普及はこれほど広範囲なものではなかったでしょう。ところで、源信さんは、九品の中で、下品志向でありました。あれほど、極楽浄土を目指す修行を積まれた源信さんなのに、下品を目指されます。源信さんが謙虚なのか、往生が難しいのか、あるいはその両方であるかもしれません。そのため、平安時代の来迎図は、下品を描かれたものが多いです。
ところが、鎌倉時代になると上品を描いたものが増えます。あの源信さんでさえ、下品なのに、だれが上品で往生できるのでしょうか。これも煩悩なのかもしれません。
画像:九品来迎図
画像出所:平等院 https://www.byodoin.or.jp/learn/picture/
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