インド密教の儀礼

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前回お話しましたように、インド密教の瞑想は、瞑想者自らが、呼び出した尊格と一体となり、尊格を自由にあやつれるようになるというユニークなものです。こうした観想法を成就法と呼ばれるそうです。

森雅秀氏によれば、この成就法は、それ自体が密教の実践法として独立したものでありますが、儀礼の中にも取り入れられています。つまり、尊格自体を生み出してから、供養が行われます。このような成就法は、バラモン教やヒンドゥ-教の儀礼とは明らかに異質です。どちらかと言えば、シャーマニズムに似ています。

こうした成就法は、行者が、自分の身体の中から外に尊格を出して礼拝等を行う形態から、時代が下がるにつれ、行者自体が、尊格を中にとどめ、自身が尊格として儀礼を行う比重が高まっていったそうです。マンダラを用いる儀礼の場合、阿闍梨はマンダラの本尊と一体となり、本尊そのものとして儀礼を行うそうです。神秘的ですね。

参考文献
森雅秀(1997)『マンダラの密教儀礼』春秋社

画像:胎蔵界曼荼羅
画像出所:ウィキペディア https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9B%BC%E8%8D%BC%E7%BE%85