恋と仏道

虚空蔵菩薩.jpg

『今昔物語集』巻17第33話「恋の虜になって仏道に励む話」という、おもしろいお話があります。

比叡山の若い僧が、虚空蔵菩薩にお祈りするため、法輪寺に詣でたときに、ある女性に恋心をいだきます。僧はその女性と関係を持とうしましが、女性に断られます。そして、女性から、『法華経』を空で読めるようになれば、僧の願いをかなえると言います。僧は、比叡山に戻り、『法華経』を何度も読み、再び女性のところに訪れます。今度は、学問に精を出して一人前の学生になれば、願いをかなえると言います。僧は、再び比叡山に戻り学問に一心不乱に取り組み、3年後りっぱな学生となって、再び女性のところに行きます。

僧は疲れて寝てしまい、朝目が覚めると、なんと野原で寝ていたことに気づきます。しかたなく、法輪寺に詣で、その後夢を見ます。その夢で、その女性が虚空蔵菩薩であることを知ります。その後、その僧は有名な学生になったというお話です。

煩悩を無くすことを説かれたお釈迦様は、このお話を知れば、さぞびっくりされたことでしょう。

画像:虚空蔵菩薩
画像出所:東京国立博物館
https://www.tnm.jp/modules/r_collection/index.php?controller=dtl&colid=A989