テーマ:仏教思想

寺社の縁起

寺社の縁起がどのように変遷していくかについて、考えてみたいと思います。 一つの例として、以前ご紹介した吉田寺を挙げます。吉田寺は、江戸時代に廃寺になって現在は存在しません。笹川尚紀氏によれば、13世紀後期、吉田寺は、吉備真備さんによって建立されたと伝わっていました。吉備真備さんは、右大臣にまでなられた方ですので、寺の格とし…
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仏教と穢れ

前回ご紹介した『今昔物語集』巻29第17話「小屋寺の大鐘が盗まれる話」に、仏教と穢れについて興味深い箇所があります。 死が穢れているという古来の信仰から、神社等では死体を遠ざけます。この物語でも、村人は、寺から死体を処理するよう頼まれますが、年に1回の村の祭りがあるので、穢れに近づきたくないと断ります。たぶん、死体に近づく…
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お寺が大掛かりな詐欺に遭うお話

『今昔物語集』巻29第17話「小屋寺の大鐘が盗まれる話」は、当時としては、大掛かりな詐欺のお話です。 摂津の国に小屋寺というお寺がありました。その小屋寺の住職のところに八十歳くらいの旅の僧が訪ねてきて、しばらく泊めてほしいと頼みます。住職が適当な場所がないと伝えますと、老僧は鐘つき堂の下でかまわないというので、住職は了承し…
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往生講の講義内容

前回に続き、永観さんの往生講です。 講義内容は、「発菩提心門」、「懺悔業障門」、「随喜善根門」、「念仏往生門」、「讃嘆極楽門」、「因円果満門」、「回向功徳門」の七門になり、この順番に講義が進みます。この中で、一番重要なのが、「念仏往生門」です。「念仏往生門」では、阿弥陀仏の悲願のおかげで、皆が極楽浄土に往生できることを説き…
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永観さんの往生講

永観さんは、禅林寺で定期的に「往生講」を行っていました。参加者は、貧民や病気の者であったと言われています。その意味では、現代で言う慈善事業の一つと言えます。 こうした参加者に対して、阿弥陀仏の来迎を説きました。往生講が行われた道場では、西の壁に阿弥陀仏の像が置かれています。往生講が始まる前に、まず、講師と式衆が入場し、その…
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浄土思想の変遷

浄土思想は、源信さん(942-1017)から法然さん(1133-1212)へといった比叡山天台宗の流れの中で考えられますが、実はもっと幅広い宗派で発展してきました。例えば、東大寺三論宗の永観さん(1033-1111)、真言宗の覚鑁さん(1095-1144)なども、浄土思想への貢献は多大なものがあります。 宗派を超えた浄土思…
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往生語り

通夜などで、故人を偲ぶ話が出ますが、その中で、故人の仏道への傾倒が語られることがあります。例えば、よくお寺にお参りに行っていたとか、写経をしていたなどです。もちろん、少し大げさに語られますが、誰も否定しません。こうしたお話は、故人が極楽に往生したことをみんなで確かめる、あるいは願う気持ちから来ていると思われます。 さらに、…
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法会の御供え物

法会の御供え物は、昔から子供など多くの人々に分けられたそうです。お供え物は、公共のものであるという考えが定着していたのでしょう。また、仏の教えにも則ったものであるかもしれません。 『今昔物語集』巻19第21話「密造した酒の中に蛇がいる話」では、このお供え物を独り占めにする僧とその妻が登場します。二人は、お供えの餅をたくさん…
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近世の宿縁

前回、中世での宿縁について、お話しましたが、今回は、近世での変化について採り上げます。 『雨月物語』に「貧福論」というお話があり、そこでお金の精霊が、貧福についての持論を展開します。精霊は、現在裕福なのは前世の善行のおかげであり、貧しいのは全盛の行いが悪かったとする、お金に関する宿縁を非難します。「えせ仏法」とまで、言い切…
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宿縁

中世の説話によく出てくる考えが、宿縁です。現世の状況が、前世からの因縁によって説明されるという考えです。まさに、仏教の輪廻転生から来ています。 現在、努力もしないのに生まれつき幸福な人は、前世で善行を積んでいたと考えられました。一方、どんなに努力しても恵まれない人や、とんでもない不幸に会う人は、前世で悪いことをしたととらえ…
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演劇的迎講

極楽浄土から阿弥陀仏と聖衆が、臨終者をお迎えにくる様子を演劇的に表現する「迎講」という法会があります。今日でもいくつかの寺院で行われていますが、奈良の当麻寺の「練供養」がとくに有名です。 源信さんが始めたとも言われますが、当時どのような迎講であったかは、まだよくわかっていません。現在のようなスタイルは、諸説ありますが、12…
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高野山納骨

高野山は、真言密教の総本山です。即身成仏を目指し、極楽浄土の浄土思想とは相容れないこことが多いです。でも、元々、山岳信仰の影響もあり、山自体に往生を見る信仰も受け継がれています。そのためか、12世紀頃から、遺骨や遺髪を納めることが行われ始めました。はじめは、皇族や貴族が中心でありましたが、徐々に庶民にも広まってきました。 …
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『往生要集』の臨終行儀

臨終行儀は、源信さんの『往生要集』が起点となっていますが、どのような内容なのでしょうか。今回は、作法ではなく、看病人双方の心得についてお話した意と思います。『往生要集』には、この心得を十項目で示しています。神居文彰氏は、その十項目を以下のように要約されています。 1.大乗の教えに帰依。三宝に帰依すること。 2.この世界を厭い…
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源信以前の臨終行儀

臨終行儀は、源信さんの『往生要集』や「二十五三昧会」で広がりますが、それ以前はどうだったのでしょうか。 皇室では、殯(もがり)が行われておりましたが、それ以外の人々については、あまりよくわかっていません。中国の文献に臨終行儀について書かれたものがあり、日本にも伝わっていましたが、それが実践されていたかは微妙です。僧が、臨終…
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中国の山中他界観

前回に続き、中国の死生観です。古代中国では、魂は山東半島の根元にある泰山に還ると信じられていました。鬼を治める神様が、そこにいると信じられていました。 他界を、この世から離れたところではなく、身近な山に想定することは、日本の山中他界観に通じるものがあるように思われます。その後、仏教の影響で浄土や地獄の概念が入ってきます。浄…
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熊谷直実と予告往生

前回、上品上生宣言で物議をかもした直実さんでしたが、最晩年には、なんと予告往生を宣言します。上品上生宣言といい、予告往生を宣言といい、とにかく目立ちたがり屋なのかもしれません。 予告した日には、往生を見ようと多くの人が集まりました。直実さんは、沐浴をして、念仏を唱えますが、突然、往生の日を延期することを伝えます。集まった人…
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東寺

前回、最澄さんのお話をしましたので、今回は空海さんです。 空海さんは、唐の長安に留学し、最澄さんよりも1年遅れて帰国しました。空海さんの加持祈祷を中心とした密教は、貴族社会に受け入れられていきます。そして、嵯峨天皇の支持を受け、官寺の一つ東寺を与えられます。真言宗のはじまりです。 東寺は、鎮護国家を担う仏法の中心地と…
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比叡山延暦寺

桓武天皇が、平安京に遷都するとき、寺院の影響力を排除するために、南都寺院の移転を許しませんでした。そのため、平安京での寺院は、当初、官寺である東寺と西寺だけでした。 そのころ、最澄さんは、比叡山で修行をしていました。この比叡山が鬼門に当たることから、桓武天皇は、これに注目しておられました。そのため、最澄さんは入唐還学生に選…
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愛欲の心を起こした修行僧

『今昔物語集』に愛欲の心を起こした修行僧の話があります。 数日、夫が山に狩に行き、家に一人でいる妻のもとに、一人の修行僧が訪れました。妻は、お経を読んでもらったお礼に、食事を出し、談笑していると、僧が陰陽道にも通じていることを知ります。妻は、僧に陰陽道の祭りをお願いします。これは、山で行うものなので、二人で山に行きます。祭…
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東寺立体曼荼羅

真言宗総本山東寺の講堂には、21体の仏像があります。構成は、5仏、5菩薩、5明王、6天です。中央が5仏で、中心は大日如来です。やはり、密教ですね。 5仏の両翼を5菩薩と5明王で囲みます。5菩薩の中心は、金剛波羅蜜菩薩、5明王の中心は不動明王です。さらに、その両翼をそれぞれ3天で固めます。6天は、四天王と梵天と帝釈天です。ま…
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西国三十三所

日本最古とされる巡礼路に、「西国三十三所」巡礼があります。 718年、大和国の長谷寺の開基である徳道上人が亡くなります。あの世で閻魔大王に会い、人々が観音霊場に参り功徳を得られるようにするよう告げられました。そして、上人は「起請文」と極楽浄土の通行証である「三十三の宝印」を受け、現世に戻されます。 この宝印によって霊…
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放生会

放生会は『金光明最勝王経』に基づいて行われる仏教行事で、魚や鳥を野に放し、殺生を戒めると同時に善根を施します。 放生会は、宗派を超えて、寺院や神社で行われてきました。鶴岡八幡宮でも、その創設とともに行われ、一大イベントでもありました。『吾妻鏡』によりますと、当時、法会から始まり、童舞と続き、流鏑馬なども行われたそうです。御…
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太子信仰

実在の人物である聖徳太子を、聖人化し、仏教の枠組みで信仰される太子信仰があります。 太子ゆかりの四天王寺や、全国の太子堂で太子が信仰の対象となっています。太子は、様々な仏・菩薩と同一視されます。とくに、お釈迦様や観音菩薩が有名です。太子もお釈迦様もどちらも王子でしたので、親和性が高いです。また、太子が観音菩薩の化身であると…
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悔過行事

奈良時代、自己の罪を仏前で懺悔するという悔過行事が行われていました。キリスト教の懺悔にも似ていますが、懺悔の目的が現世利益なのが、大きく異なります。 天武天皇のご病気治癒で行われたのが、最初だといわれています。礼拝されるのは、薬師如来、観音菩薩、阿弥陀仏などです。とくに五穀豊穣を祈願された、吉祥天が普及しました。 こ…
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『般舟三昧教』

浄土三部経より以前に、阿弥陀仏や極楽浄土について述べられたお経に『般舟三昧教』があります。 後漢から隋の時代に中国で翻訳されたお経で、仏を観想することによって、見仏を目指すことが中心で、浄土への往生が目的ではありません。そして、現世での利益が説かれています。阿弥陀仏も特別ではなく、多くの仏の中のひとりです。 ただ、天…
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天台本覚思想の相即論

天台本覚思想の特徴として、相即論があります。対立する二つの概念を、同じ(即)であると結びます。例えば、煩悩即菩提、娑婆即浄土などです。 元々人は悟っているという、迷いと悟りを同一視していますので、すべてが一体視されます。どこか、弁証法にも似ているかもしれませんし、対立する二つを単にイコールで結ぶだけでなく止揚の意味もあるか…
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仏教と土着思想の融合

本覚思想が仏教と土着思想の融合であるということは、何も日本だけの話ではありません。中国でも同様です。 ピーター・N・グレゴリー氏は、中国の仏教者、宗密さん(780-841)を取り上げます。宗密さんの根源実在論は、本覚思想に近いです。ここで、宗密さん自身は、道教の根源論を否定していますが、明らかに道教の影響を受けています。 …
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思想的な類似性

如来蔵をアートマンとする説をご紹介しましたが、これは天台本覚思想と梵我一如との類似性ともとらえられます。天台本覚思想の最終段階は、すべてが仏の顕現であると主張しますし、梵我一如では、すべてがブラフマン=アートマンになります。両者は、似ていますね。 ただ、これは天台本覚思想と梵我一如に限ったことではなく、このような汎神論的な…
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仏教の多様性

松本史朗氏が、如来蔵をアートマンであるとする指摘は、説得力があります。氏はまた、このアートマンがインドで、仏教に入り込んだと指摘されています。 ただ、日本にもアートマン的な思想もあり、外来だけではないような気がします。真実の自己、というような考えは、民族を問わず、共有された概念かもしれません。 インドではじまった仏教…
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如来蔵思想批判

天台本覚思想への批判は、天台本覚思想のどの段階のものへの批判なのかを認識することが重要です。批判の多くは、後の段階、この世が仏の顕現であるという段階のものに対してです。 ただ、松本史朗氏は、初期段階、すなわち如来蔵思想に向けて批判されました。誰もが成仏できる可能性を持っている、つまり誰もが如来蔵を持っていることに批判されま…
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