テーマ:仏教思想

『往生要集』の臨終行儀

臨終行儀は、源信さんの『往生要集』が起点となっていますが、どのような内容なのでしょうか。今回は、作法ではなく、看病人双方の心得についてお話した意と思います。『往生要集』には、この心得を十項目で示しています。神居文彰氏は、その十項目を以下のように要約されています。 1.大乗の教えに帰依。三宝に帰依すること。 2.この世界を厭い…
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源信以前の臨終行儀

臨終行儀は、源信さんの『往生要集』や「二十五三昧会」で広がりますが、それ以前はどうだったのでしょうか。 皇室では、殯(もがり)が行われておりましたが、それ以外の人々については、あまりよくわかっていません。中国の文献に臨終行儀について書かれたものがあり、日本にも伝わっていましたが、それが実践されていたかは微妙です。僧が、臨終…
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中国の山中他界観

前回に続き、中国の死生観です。古代中国では、魂は山東半島の根元にある泰山に還ると信じられていました。鬼を治める神様が、そこにいると信じられていました。 他界を、この世から離れたところではなく、身近な山に想定することは、日本の山中他界観に通じるものがあるように思われます。その後、仏教の影響で浄土や地獄の概念が入ってきます。浄…
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熊谷直実と予告往生

前回、上品上生宣言で物議をかもした直実さんでしたが、最晩年には、なんと予告往生を宣言します。上品上生宣言といい、予告往生を宣言といい、とにかく目立ちたがり屋なのかもしれません。 予告した日には、往生を見ようと多くの人が集まりました。直実さんは、沐浴をして、念仏を唱えますが、突然、往生の日を延期することを伝えます。集まった人…
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東寺

前回、最澄さんのお話をしましたので、今回は空海さんです。 空海さんは、唐の長安に留学し、最澄さんよりも1年遅れて帰国しました。空海さんの加持祈祷を中心とした密教は、貴族社会に受け入れられていきます。そして、嵯峨天皇の支持を受け、官寺の一つ東寺を与えられます。真言宗のはじまりです。 東寺は、鎮護国家を担う仏法の中心地と…
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比叡山延暦寺

桓武天皇が、平安京に遷都するとき、寺院の影響力を排除するために、南都寺院の移転を許しませんでした。そのため、平安京での寺院は、当初、官寺である東寺と西寺だけでした。 そのころ、最澄さんは、比叡山で修行をしていました。この比叡山が鬼門に当たることから、桓武天皇は、これに注目しておられました。そのため、最澄さんは入唐還学生に選…
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愛欲の心を起こした修行僧

『今昔物語集』に愛欲の心を起こした修行僧の話があります。 数日、夫が山に狩に行き、家に一人でいる妻のもとに、一人の修行僧が訪れました。妻は、お経を読んでもらったお礼に、食事を出し、談笑していると、僧が陰陽道にも通じていることを知ります。妻は、僧に陰陽道の祭りをお願いします。これは、山で行うものなので、二人で山に行きます。祭…
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東寺立体曼荼羅

真言宗総本山東寺の講堂には、21体の仏像があります。構成は、5仏、5菩薩、5明王、6天です。中央が5仏で、中心は大日如来です。やはり、密教ですね。 5仏の両翼を5菩薩と5明王で囲みます。5菩薩の中心は、金剛波羅蜜菩薩、5明王の中心は不動明王です。さらに、その両翼をそれぞれ3天で固めます。6天は、四天王と梵天と帝釈天です。ま…
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西国三十三所

日本最古とされる巡礼路に、「西国三十三所」巡礼があります。 718年、大和国の長谷寺の開基である徳道上人が亡くなります。あの世で閻魔大王に会い、人々が観音霊場に参り功徳を得られるようにするよう告げられました。そして、上人は「起請文」と極楽浄土の通行証である「三十三の宝印」を受け、現世に戻されます。 この宝印によって霊…
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放生会

放生会は『金光明最勝王経』に基づいて行われる仏教行事で、魚や鳥を野に放し、殺生を戒めると同時に善根を施します。 放生会は、宗派を超えて、寺院や神社で行われてきました。鶴岡八幡宮でも、その創設とともに行われ、一大イベントでもありました。『吾妻鏡』によりますと、当時、法会から始まり、童舞と続き、流鏑馬なども行われたそうです。御…
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太子信仰

実在の人物である聖徳太子を、聖人化し、仏教の枠組みで信仰される太子信仰があります。 太子ゆかりの四天王寺や、全国の太子堂で太子が信仰の対象となっています。太子は、様々な仏・菩薩と同一視されます。とくに、お釈迦様や観音菩薩が有名です。太子もお釈迦様もどちらも王子でしたので、親和性が高いです。また、太子が観音菩薩の化身であると…
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悔過行事

奈良時代、自己の罪を仏前で懺悔するという悔過行事が行われていました。キリスト教の懺悔にも似ていますが、懺悔の目的が現世利益なのが、大きく異なります。 天武天皇のご病気治癒で行われたのが、最初だといわれています。礼拝されるのは、薬師如来、観音菩薩、阿弥陀仏などです。とくに五穀豊穣を祈願された、吉祥天が普及しました。 こ…
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『般舟三昧教』

浄土三部経より以前に、阿弥陀仏や極楽浄土について述べられたお経に『般舟三昧教』があります。 後漢から隋の時代に中国で翻訳されたお経で、仏を観想することによって、見仏を目指すことが中心で、浄土への往生が目的ではありません。そして、現世での利益が説かれています。阿弥陀仏も特別ではなく、多くの仏の中のひとりです。 ただ、天…
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天台本覚思想の相即論

天台本覚思想の特徴として、相即論があります。対立する二つの概念を、同じ(即)であると結びます。例えば、煩悩即菩提、娑婆即浄土などです。 元々人は悟っているという、迷いと悟りを同一視していますので、すべてが一体視されます。どこか、弁証法にも似ているかもしれませんし、対立する二つを単にイコールで結ぶだけでなく止揚の意味もあるか…
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仏教と土着思想の融合

本覚思想が仏教と土着思想の融合であるということは、何も日本だけの話ではありません。中国でも同様です。 ピーター・N・グレゴリー氏は、中国の仏教者、宗密さん(780-841)を取り上げます。宗密さんの根源実在論は、本覚思想に近いです。ここで、宗密さん自身は、道教の根源論を否定していますが、明らかに道教の影響を受けています。 …
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思想的な類似性

如来蔵をアートマンとする説をご紹介しましたが、これは天台本覚思想と梵我一如との類似性ともとらえられます。天台本覚思想の最終段階は、すべてが仏の顕現であると主張しますし、梵我一如では、すべてがブラフマン=アートマンになります。両者は、似ていますね。 ただ、これは天台本覚思想と梵我一如に限ったことではなく、このような汎神論的な…
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仏教の多様性

松本史朗氏が、如来蔵をアートマンであるとする指摘は、説得力があります。氏はまた、このアートマンがインドで、仏教に入り込んだと指摘されています。 ただ、日本にもアートマン的な思想もあり、外来だけではないような気がします。真実の自己、というような考えは、民族を問わず、共有された概念かもしれません。 インドではじまった仏教…
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如来蔵思想批判

天台本覚思想への批判は、天台本覚思想のどの段階のものへの批判なのかを認識することが重要です。批判の多くは、後の段階、この世が仏の顕現であるという段階のものに対してです。 ただ、松本史朗氏は、初期段階、すなわち如来蔵思想に向けて批判されました。誰もが成仏できる可能性を持っている、つまり誰もが如来蔵を持っていることに批判されま…
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天台本覚思想批判

天台本覚思想は、評価されるとともに、激しい批判にもさらされます。その思想の中に、批判のタネが豊富にあるからです。 まず、すべての人が成仏しているなら、修行の必要が無くなります。修行不要論を、もたらす可能性があります。また、現実世界が肯定されるなら、恵まれない人々は、その現実を許容しなければなりません。また、教えが、口伝によ…
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天台本覚思想の定義

天台本覚思想の定義は難しく、様々な学者の方が議論されています。その理由として、この思想にはいろいろな段階があり、一括りでは説明できないからです。 でも、その基礎となっているのが、人々は皆、如来蔵(仏性)を持っているとする思想です。つまり、誰もが、仏になれる可能性を有しているということです。これは、比較的に受け入れやすい考え…
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天台本覚思想

日本の仏教は、様々な宗派があり、多様です。そのため、日本仏教というくくりで、思想を語るのは非常に難しいです。また、共通のトピックというも、なかなか難しいです。ただ、数少ない話題として、過去大きな議論となったのが、天台本覚思想だと思います。 天台と名前がついていますので、天台宗が元になっていますが、他の宗派への影響も大きいで…
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日本仏教の多様性

英国の宗教学者イアン・リーダー氏は、四国巡礼をサポートする巡礼講の人々を調査しました。 御存じのように、四国巡礼は弘法大師信仰です。そのため、巡礼講の人々は、弘法大師を崇拝していました。ところが、彼らの所属している宗派を聞いてみると、その多くは、弘法大師の真言宗ではなく、浄土真宗だったそうです。氏は、驚きその理由を彼らに問…
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数奇と仏教

趣味と仏教の関係はどうでしょうか。歌や茶などといった芸事(数奇)は、仏教修業にプラスでしょうか、マイナスでしょうか。 仏教の基本理念は、執着を捨てることですので、数奇はあきらかに執着ですから、修業にはマイナスのように思われます。でも、世俗の地位や名誉をすべて捨て、隠遁生活を送ることが仏の道と考えた鴨長明さんも、数奇には肯定…
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中陰と四十九日

輪廻による死から次の生への中間的な存在を中陰と言います。幽体のようなものでしょうか。 その期間が、49日と言われています。この間に、次の生を受ける場所が審査されることになります。この中陰に、十王信仰が重なり、1週ごとに各王に裁きを受けることになります。 ちなみに、閻魔大王は5週目です。このスケジュールに合わせて、関係…
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常行三昧

極楽浄土に関する様々な修行方法がありますが、最もハードなのが常行三昧です。天台宗による密教色の強い修行方法です。 本尊が阿弥陀仏であります比叡山常行三昧堂で、外界と遮断して行われます。堂の中では、ひたすら心に阿弥陀様を念じ、阿弥陀仏の名前を唱えながら昼夜歩き続けます。本尊の周囲に設置された手摺に寄りかかるか、天井から下げら…
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『平家物語』の悪人救済

平清盛さんの五男の平重衡さんは、南都を焼き討ちしました。そのため、仏教教団、とくに南都からは、とんでもない大悪人ということになります。 『平家物語』によれば、重衡さんは、源平の合戦で活躍しますが、一ノ谷の戦いで、とうとう捕らわれます。重衡さんは、南都焼き討ちを後悔し、法然さんに相談します。そして、法然さんから戒を与えられま…
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生老病死

この世は、苦であると言われます。その苦は、生老病死の4つの苦であると仏教では定義されます。この四苦に、愛別離苦(愛する人と別れる苦)、怨憎会苦(にくい相手と会わなければならい苦)、求不得苦(求めるものが得られない苦)、五蘊盛苦(心と体が思うようにならない苦)の4つも加えて、四苦八苦と言われることもあります。 昔、生老病死の…
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戒律

仏教には、仏教教団の戒律は重要な要素です。上座仏教でもチベット仏教でも、それぞれの戒律を守っています。でも、日本では多くの出家者が妻帯肉食をしています。戒律はどうなったのでしょうか。 末木文美士氏によれば、日本の仏教の多くは、基本的には部派の律を採用しておらず、大乗戒を採用しているそうです。そして、これを採用し、日本に導入…
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仏教は、人生は苦であるということが前提になっています。この苦を脱することが、悟りに至ります。 ただ、人生確かに苦も多いですが、楽しいことも多いはずです。美味しいものを食べたり、映画を見たり、楽しいこともありますので、仏教は、ちょっと悲観的すぎるのではないかと思われる方もおられるかもしれません。 これは、原語(パーリ語…
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『観心略要集』

平安時代、『往生要集』の他にも極楽浄土を記載した書物はたくさんありますが、その一つとして『観心略要集』があります。 こちらも源信さんの著作だと言われていましたが、現在では、偽撰であることがコンセンサスです。そのため、作者はわかりません。内容は、天台宗の高度な理論によって、極楽浄土を証明しようとする試みです。極楽浄土や地獄の…
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