テーマ:仏教思想

天台本覚思想の相即論

天台本覚思想の特徴として、相即論があります。対立する二つの概念を、同じ(即)であると結びます。例えば、煩悩即菩提、娑婆即浄土などです。 元々人は悟っているという、迷いと悟りを同一視していますので、すべてが一体視されます。どこか、弁証法にも似ているかもしれませんし、対立する二つを単にイコールで結ぶだけでなく止揚の意味もあるか…
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仏教と土着思想の融合

本覚思想が仏教と土着思想の融合であるということは、何も日本だけの話ではありません。中国でも同様です。 ピーター・N・グレゴリー氏は、中国の仏教者、宗密さん(780-841)を取り上げます。宗密さんの根源実在論は、本覚思想に近いです。ここで、宗密さん自身は、道教の根源論を否定していますが、明らかに道教の影響を受けています。 …
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思想的な類似性

如来蔵をアートマンとする説をご紹介しましたが、これは天台本覚思想と梵我一如との類似性ともとらえられます。天台本覚思想の最終段階は、すべてが仏の顕現であると主張しますし、梵我一如では、すべてがブラフマン=アートマンになります。両者は、似ていますね。 ただ、これは天台本覚思想と梵我一如に限ったことではなく、このような汎神論的な…
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仏教の多様性

松本史朗氏が、如来蔵をアートマンであるとする指摘は、説得力があります。氏はまた、このアートマンがインドで、仏教に入り込んだと指摘されています。 ただ、日本にもアートマン的な思想もあり、外来だけではないような気がします。真実の自己、というような考えは、民族を問わず、共有された概念かもしれません。 インドではじまった仏教…
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如来蔵思想批判

天台本覚思想への批判は、天台本覚思想のどの段階のものへの批判なのかを認識することが重要です。批判の多くは、後の段階、この世が仏の顕現であるという段階のものに対してです。 ただ、松本史朗氏は、初期段階、すなわち如来蔵思想に向けて批判されました。誰もが成仏できる可能性を持っている、つまり誰もが如来蔵を持っていることに批判されま…
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天台本覚思想批判

天台本覚思想は、評価されるとともに、激しい批判にもさらされます。その思想の中に、批判のタネが豊富にあるからです。 まず、すべての人が成仏しているなら、修行の必要が無くなります。修行不要論を、もたらす可能性があります。また、現実世界が肯定されるなら、恵まれない人々は、その現実を許容しなければなりません。また、教えが、口伝によ…
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天台本覚思想の定義

天台本覚思想の定義は難しく、様々な学者の方が議論されています。その理由として、この思想にはいろいろな段階があり、一括りでは説明できないからです。 でも、その基礎となっているのが、人々は皆、如来蔵(仏性)を持っているとする思想です。つまり、誰もが、仏になれる可能性を有しているということです。これは、比較的に受け入れやすい考え…
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天台本覚思想

日本の仏教は、様々な宗派があり、多様です。そのため、日本仏教というくくりで、思想を語るのは非常に難しいです。また、共通のトピックというも、なかなか難しいです。ただ、数少ない話題として、過去大きな議論となったのが、天台本覚思想だと思います。 天台と名前がついていますので、天台宗が元になっていますが、他の宗派への影響も大きいで…
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日本仏教の多様性

英国の宗教学者イアン・リーダー氏は、四国巡礼をサポートする巡礼講の人々を調査しました。 御存じのように、四国巡礼は弘法大師信仰です。そのため、巡礼講の人々は、弘法大師を崇拝していました。ところが、彼らの所属している宗派を聞いてみると、その多くは、弘法大師の真言宗ではなく、浄土真宗だったそうです。氏は、驚きその理由を彼らに問…
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数奇と仏教

趣味と仏教の関係はどうでしょうか。歌や茶などといった芸事(数奇)は、仏教修業にプラスでしょうか、マイナスでしょうか。 仏教の基本理念は、執着を捨てることですので、数奇はあきらかに執着ですから、修業にはマイナスのように思われます。でも、世俗の地位や名誉をすべて捨て、隠遁生活を送ることが仏の道と考えた鴨長明さんも、数奇には肯定…
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中陰と四十九日

輪廻による死から次の生への中間的な存在を中陰と言います。幽体のようなものでしょうか。 その期間が、49日と言われています。この間に、次の生を受ける場所が審査されることになります。この中陰に、十王信仰が重なり、1週ごとに各王に裁きを受けることになります。 ちなみに、閻魔大王は5週目です。このスケジュールに合わせて、関係…
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常行三昧

極楽浄土に関する様々な修行方法がありますが、最もハードなのが常行三昧です。天台宗による密教色の強い修行方法です。 本尊が阿弥陀仏であります比叡山常行三昧堂で、外界と遮断して行われます。堂の中では、ひたすら心に阿弥陀様を念じ、阿弥陀仏の名前を唱えながら昼夜歩き続けます。本尊の周囲に設置された手摺に寄りかかるか、天井から下げら…
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『平家物語』の悪人救済

平清盛さんの五男の平重衡さんは、南都を焼き討ちしました。そのため、仏教教団、とくに南都からは、とんでもない大悪人ということになります。 『平家物語』によれば、重衡さんは、源平の合戦で活躍しますが、一ノ谷の戦いで、とうとう捕らわれます。重衡さんは、南都焼き討ちを後悔し、法然さんに相談します。そして、法然さんから戒を与えられま…
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生老病死

この世は、苦であると言われます。その苦は、生老病死の4つの苦であると仏教では定義されます。この四苦に、愛別離苦(愛する人と別れる苦)、怨憎会苦(にくい相手と会わなければならい苦)、求不得苦(求めるものが得られない苦)、五蘊盛苦(心と体が思うようにならない苦)の4つも加えて、四苦八苦と言われることもあります。 昔、生老病死の…
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戒律

仏教には、仏教教団の戒律は重要な要素です。上座仏教でもチベット仏教でも、それぞれの戒律を守っています。でも、日本では多くの出家者が妻帯肉食をしています。戒律はどうなったのでしょうか。 末木文美士氏によれば、日本の仏教の多くは、基本的には部派の律を採用しておらず、大乗戒を採用しているそうです。そして、これを採用し、日本に導入…
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仏教は、人生は苦であるということが前提になっています。この苦を脱することが、悟りに至ります。 ただ、人生確かに苦も多いですが、楽しいことも多いはずです。美味しいものを食べたり、映画を見たり、楽しいこともありますので、仏教は、ちょっと悲観的すぎるのではないかと思われる方もおられるかもしれません。 これは、原語(パーリ語…
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『観心略要集』

平安時代、『往生要集』の他にも極楽浄土を記載した書物はたくさんありますが、その一つとして『観心略要集』があります。 こちらも源信さんの著作だと言われていましたが、現在では、偽撰であることがコンセンサスです。そのため、作者はわかりません。内容は、天台宗の高度な理論によって、極楽浄土を証明しようとする試みです。極楽浄土や地獄の…
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人の恨みの恐ろしさ

個人的には、『発心集』の中で1,2を争う怖い話があります。 ある僧の家に、橘の木があり、おいしい実がなっていました。その隣に、老尼が住んでおり、重病で何日もものが食べられない状況でした。どうしたことか、老尼は、橘の実を食べたいと思い、人をやって隣の僧にたのみました。でも、僧はひとつも渡しませんでした。老尼は、怒り、これまで…
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『発心集』の教訓話

『発心集』の中には、教訓譚のようなものもあります。その中の一つが、比叡山から下山してきた僧の話です。 河合神社のところで、3人の子供が言い争いをしています。理由を聞くと、神の御前で読むお経の名前を何というかでもめていたそうです。一人は「真経」、もう一人は「深経」、最後の一人は「神経」と言って引きません。僧は、「心経」という…
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魚をいただくこと

『発心集』に聖と魚の話があります。 ある聖が、琵琶湖で網打ち舟が大きな鯉を捕っているのを見かけました。鯉はまだ生きていて、ばたばたと音をたてています。聖は、かわいそうに思い、その鯉を買い取り、湖に帰してあげます。その夜、聖の夢の中に翁が現れます。翁は、今日助けられた鯉だと言い、聖を恨んでいると言います。良いことしたと思って…
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熊野観心十界曼荼羅:老いの坂

熊野観心十界曼荼羅は、仏・菩薩・声聞・縁覚の四聖界と、天上界・人間界・阿修羅界・餓鬼界・畜生界・地獄界の六道を併せた十界が描かれています。 この中で、人間界は、老いの坂として表現されています。スタートは赤子からはじまり、その子が成長し成人し、結婚し、子供を得、そして老いて亡くなるという人間の一生が描かれています。人の一生に…
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仏教三系統と言語

前回ご紹介した、上座仏教、大乗仏教、チベット仏教という三系統の仏教は、その経典の言語に特徴があります。上座仏教は、パーリ語が中心です。御存じのように、インドにはたくさんの言語がありますが、このパーリ語は、お釈迦様が使われていた言語に比較的近いと言われています。特に、スリランカや東南アジアに伝わったものは、パーリ語で現地の言葉に翻…
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仏教の三系統

今回は、仏教の三系統について考えてみたいと思います。 まず、仏教自体、元々お釈迦様の教えだったのが、その死後、その教えが分化していきます。さらにインドから、他の地域へ渡っていくにつれて、伝わる仏教の系統が異なっていきます。インド仏教の中で、伝統的な上座仏教に対し、新興の大乗仏教が出現します。 上座仏教はパーリ三蔵に依…
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ピンチのときにすがる仏様

命にかかわる危険な状況で、どの神様や仏様にすがるでしょうか。やはり、観音菩薩の人気が高いです。 『今昔物語集』で、近江の国安義の橋で鬼に遭遇するお話があります(巻27第13話)。当時、この橋には鬼が出るといううわさがあり、誰も通りません。そうした中、ある男が宴席で、不本意にも見栄から、その橋を渡る約束をしてしまいます。その…
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阿修羅

六道の一つが阿修羅界ですが、日本人にとっては、最もなじみの薄いものだと思われます。ランクは、人間界と畜生界の間にあります。 ただし、阿修羅の力は、人間を超え天界に匹敵しますが、人間界よりも下にランクされます。それは、神と同じような力を持ちながら、乱暴で好戦的な性格からきているのかもしれません。 阿修羅は、須弥山の周り…
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「草木国土悉皆成仏」

十数年前、日本でもちょっとしたブームになった「草木国土悉皆成仏」は、草木や国土でも、仏性を具えていて成仏するという思想です。日本のアニミズム(生物・無機物を問わないすべてのものの中に霊が宿っている)に合った思想ですね。また、現実肯定的な天台本覚思想とも関連しています。 ただ、似た思想はインドにもあります。六師外道の一人ゴー…
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閻魔大王の変遷

閻魔大王は、地獄の主で、審判を下す存在です。ただ、もともとは天界の住人です。それが、どうして地獄に移ったのでしょうか。 閻魔堂王は、もともとはバラモン教の神様で、それが仏教に取り入れられたと言われています。バラモン教では、閻魔堂王は、神様になる前は、人間、それも最初の人間ヤマとされています。最初の人間ですので、最初の死者と…
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仏教の宇宙観

仏教では、この地球はどのようにとらえられていたのでしょうか。 まず、虚空に風輪という巨大な円柱が浮かんでいます。この風輪の上に、この風輪の直径より小さな直径を持つ水輪と呼ばれる円柱が乗っかっていることになります。さらに、この水輪の上に、同じ直径を持つ金輪が乗っています。私たちは、この金輪の上にいることになります。 そ…
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般若

今回は、渡辺章悟氏の論文を参照して、「般若」について考えてみたいと思います。 『般若心経』等で使われる般若とういう語ですが、インドの語を音写したものです。サンスクリットではパラジュニャー、パーリ語ではパンニャーになります。日本語では、「智慧」とされることが多いです。 仏教では、この智慧は、学習され、集積される知識では…
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もう一つの梵界

以前、梵界についてお話ししました。 梵我一如の結果、輪廻から解脱して到達できる世界です。苦は一切ないですが、宇宙と一体になった状態ですので、個人的な意識はありません。ただ、この梵界も、別の意味で解釈されることもあります。 ブラフマンは、宇宙の最高原理ですが、祀られるには、像などが造れず、不都合です。そのため、ブラフマ…
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