死者と霊魂

今回は、民俗学の視点から、新谷尚紀氏による死者と霊魂についての説をご紹介します。
氏は、霊魂を二つに分類します。一つは普通の死者の霊魂、もう一つは非業の死をとげた死者の霊魂(怨霊)です。ただ、普通の死者の霊魂であっても、死んで間もない新しい霊魂は、荒ぶる危険な存在だと指摘します。そのため、どちらも祀られることによって、害をなす存在から生者を守護する存在へと変化します。その変化した霊魂は、次のように類型化されます。
祖霊(例:家ごとの先祖諸霊)
無縁霊(例:無縁仏、餓鬼仏)
御霊(例:北野天神、和霊神社)
尊霊(例:豊国大明神、東照大権現、明治神宮)
英霊(例:靖国神社、護国神社)
そして、祖霊、無縁霊が仏教思想と関係が死者の成仏であり、御霊、尊霊、英霊が神道思想と関連の深い死者霊の神格化であると指摘されています。
お参りすることによって、怖い存在から守護者になるのですね。
参考文献
新谷尚紀(2000)「死とケガレ」『往生考-日本人の生・老・死』p.p.204-220.
画像:山中他界
画像出所:pro.foto
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